今回のコラムでは、DXを進めるにあたっておさえておきたいポイントと課題ついてご紹介します。
DXのポイントと課題
ポイント1 手法
DXをする上で持っておきたい知識として、常に変化するIT技術への変化やDX事例を捉えておくことがあげられます。DXする上で必要な情報・技術・アイディアを知らなければ、いざDXをしようと言うときになって何をすれば良いのかわからないという状況になってしまいます。常に最新のIT技術について知っておくこと、常日頃からDXに対する引き出しを増やしておくことがDXを素早く実現するのに役立ちます。
ここからよく使われているDXの手法をまとめます。下に向かっていくほど導入への難易度があがります。
- ペーパーレス化・・・現状紙でおこなっている業務を電子化することで、共有や管理が行いやすくなったり、データ活用に役立ちます。
- 社内Wiki・社内チャット・・・社内の情報共有が離れていても、また時間差があっても行えるようになるのがメリットです。Wikiは業務に必要な情報を継続的に載せておけるので便利です。
- クラウド化・・・サーバーのクラウド化が一般的になってきていますが、例えばファイルをやり取りする際も、クラウドストレージに保管してそのリンクを送信することができるなどとすればやりとりが楽になります。また、ファイルをそのまま送っていたときには誤送信などが起こるとファイルごと削除してもらわなければなりませんでしたが、リンクを送信するようにすることで、誤送信した場合の対処も容易になり(リンクの無効化・破棄して新リンクを取得など)セキュリティ面でも強固になります。
- チケット管理・・・タスクや注文を”チケット”という単位にし、管理することで、優先順位や顧客ごとのデータなどを取りやすくします。
- ワークフローツール(連携ツール)の利用・・・業務上で使っている色々なツールを一箇所でまとめることができるツールのことです。例えば、社内チャットで使っているツールがある他に発注処理で使っているツールがあり、また別で社内申請で使っているツールがあるとして、それらを1つのシステムで連結させ、1つの画面上で色々なシステムに接続することできるようなものを指します。これにより管理作業を効率化できます。
- 顧客管理ツールの導入・・・案件状況や顧客に関する情報をまとめておけるツールのことです。主に営業目的などで使われます。ここに管理されている情報からデジタルマーケティングなどに応用できることも。
- ウェブ解析ツールやチャットボットの利用・・・サイトにタグをつけたりクッキーの取得などでその顧客がサイトから何に注目しているのかを知ることができ、広告表示などに活用することができます。また、チャットボットの利用では、業務を効率化させるだけではなく、従来電話では聞けなかったEmailアドレスの情報を取得できたり、文字情報が履歴に残ることで後から見直す証査になりやすくデータ活用に役立ったりします。
- IoT・AIの活用・・・センサーやカメラを使ってデータ(音や温度、ねじのズレから不良品判定など)を収集し活用したり、AIによる予測や自動処理を業務や商品に反映させます。
ポイント2 人材
次に、DXをおこなう人材として求められる資質についてです。DXを行う上で必要となる力は、およそ3つです。
- プログラミング思考・・・プログラミング思考とは、対象を分解し順序立てて再構築する考え方です。また、IT技術を使う以上、少なからずITへの知識や興味も必要となってきます。UIやUXのデザインスキル・改善する力があるとよりよいです。
- ビジネス思考・・・DXは社内やある程度の業務フローを操作する必要があるため、他人を巻き込んで社内調整できたり、プロジェクトを動かす力があったりする必要があります。また、ビジネスを作り出す力があるとなお進めやすいでしょう。
- データサイエンススキル・・・データ分析ができたり、データビジネス発想が得意な人はDX人材に向いています。自分が思うようにデータを取得すること・活用することが出来なければ効果的なDXは難しいでしょう。SQLなど多少のプログラミング知識も持っておく必要があります。
これらの知識を全てもっていることは望ましいですが必然ではありません。
今はできなくともこれから勉強する、でもよいと思います。これらのスキルがあると、DXが良いものになりやすい傾向にあるということだけを覚えておきましょう。また、DX人材を教育したいという場合も、これらを意識して教育するとよいでしょう。
DXへの課題
DXを進めていくと、反対勢力や非協力的な従業員が登場することもあるでしょう。新たな業務に対する不安やDXコスト面での不満、変化への対応が煩雑、などが原因となっていることが多いです。
これらの不安・不満を解決させるためにも、DX施策が説得力のあるものになっているか、将来的に必須であると断言できるような施策になっているかを確認し、きちんと納得してもらうことが大切です。
- コスト面がネックな場合
コスト面で、経営層の役員たちを説得するには「〇〇すればコストカットできます!」というだけではなく「コストカットした分を△△に活かし、より利益を出します!」とコストカット+αで伝えると話を聞いてもらいやすくなります。また、想定でよいので数字で示すということも効果的です。 - DXに対する不安がネックの場合
計画しているDX施策を簡単に試せるような画面やシステムの簡易版を作ってみるのも1つの手です。あるいは、実際にDXにしてみた業務を1時間だけ試してみる、など。実際の業務として実現したときにどのように動けばいいのかを示すことで、業務イメージがわき、不安感が少なくなります。 - 社内調整がうまくいかないことがネックな場合
まずはできるところからやってみる、というのも1つの手段です。計画しているDX全体の中で自分たちのチームや自分だけでできる範囲から始めてみます。それを広めて行ったり、何度もすることで認知してもらい範囲を広げていく、という方法も1つです。
また、自分より上の役職の人が非協力的でプロジェクトが動かない場合は、その抵抗勢力の人のさらに上の役職の方を説得することでプロジェクトが動き出すようになるかもしれません。
さて、今回のコラムでは、DXのポイントや課題をお伝えしました。
次回のコラムではAIによって消えるかもしれない職業についてご紹介します。